'9910 October
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 10月30日(土) ワタセジネズミ    奄美大島の最北部・笠利(かさり)町の農道でワタセジネズミが  死んでいるのを見つけました。頭の下の辺りにちょっぴり血痕の  ようなものが付いていましたので、もしかしたら、車か何かにぶ  つかったのかも知れません。  奄美にいる哺乳類のケナガネズミ(天然記念物)やアマミトゲネ  ズミ(同)がネズミ目ネズミ科であるのに対し、このワタセジネ  ズミはモグラ目トガリネズミ科に属しています。つまり、ワタセ  ジネズミは、モグラに近いということで鼻の辺りが膨らんでいて  長く前に突き出しています。頭胴長葯60mm前後で非常に小さく、  一見するとネズミの子どもに見えますが、これでもりっぱな大人  です。小型昆虫類やクモ類を食べるということなどの他は、ほと  んどその生態が知られていません。  サトウキビ畑の近くにあった死骸。 鼻がとがっている。  10月24日(日) シマシュスラン    奄美はランの宝庫である。高温多湿の亜熱帯気候のため、多くの  ラン類が育まれている。今日は、住用村の深い森の中で初めてシ  マシュスランに出会った。    ちょうど花が咲いていて、花はわりと地味な色をしていたが、形  は何ともユニークなかっこうをしていた。最初は、花を何物かが  かじったかと思うほど、半分からちぎれたような形をしていた。  もう何年も森の中を歩いているのだが、このランは初めて見るラ  ンで、きっと数も少ないのであろう。  残念なことだが、奄美のランは近年よく盗掘にあっているようで  ある。とくに林道沿いなどにある目立つ花のランは、根こそぎ盗  られたあとをよく目にするようになった。自然のものは「自然の  中にあってこそ美しい」ということを、あらためて声を大にして  言いたい。    地味な色のランだか、不思議な花の形をしている。  10月14日(木) ミサゴ    住用(すみよう)村の内海公園まえの干潟で、ミサゴが休んでい  るのを見かけました。疲れているのか、私が撮影してもあまり警  戒もせず、ときおり目をつぶったりしていました。  ミサゴはタカ科で、奄美には冬期によく見られる鳥です。でも、  時折夏に突然現れたり、春先にペアで飛翔している姿をみたこと  もあるので、奄美のどこか人が近寄れない断崖のようなところで  繁殖している可能性もあります。  この猛禽類のミサゴは、魚しか襲って食べないという変わった鳥  です。このときもすぐ近く約1mくらい近くをシロチドリが餌を  探してうろうろしていました。ハヤブサが遠くに現れただけで、  一斉に逃げ去るシロチドリたちも、同じ猛禽類のミサゴが魚しか  襲わないことをよく知っているのでしょうね。     干潟の流木の上で休むミサゴ。おそらく♀と思われる。  10月14日(木) シマツユクサ   湯湾岳(ゆわんだけ)林道(登山道ではなく、アスファルト道の  方です)では、いろいろな秋の花が咲いていました。今日見た花  のうち、印象に残ったのはシマツユクサです。ツユクサはよく見  かけるのですが、シマツユクサの花は久々に見ました。  シマツユクサの花は拡大して見ると、なんとも不思議できれいな  形をしています。花びらが上方に2枚というのもなんとなく変な  感じですが、すぐ下にある黄色の葯? も変わった形です。それ  にしても、濃い青紫と黄色の組み合わせが何とも美しく、しばし  見とれてしまいました。  林道脇には、ススキがいっぱい咲いていました。ススキの花も拡  大してみると、なかなかどうしてかなりきれいに見えます。(写  真右) ススキがこんな花だと知ってましたかぁ〜?    シマツユクサの花       ススキの花  10月8日(金) ドングリとルリカケス    運動会シーズンになりました。この頃になると、森ではイタジイ  の実がなり始め、アマミアラカシのドングリも実を付け始めます。  イタイジやアマミアラカシのドングリは、奄美に棲む天然記念物  ルリカケスの好物です。  この時期から、ルリカケスはこれらのドングリをあっちこっちに  運び始めます。これらを貯食(ちょしょく)行動と呼びます。つ  まり、ルリカケスは冬の餌の少ない時期に備えて、今のうちから  食べ物を蓄えておくのです。  のどに5〜6個のドングリを入れて、自分だけがわかる地中や木の  根っこ付近などに運んで埋めておくのです。冬の餌にありつけな  くなった時、それらのドングリを取り出して食べ飢えをしのぐわ  けですが、なかには埋めた場所を忘れてしまうこともあります。  そうした場所からは、新たにイタジイやアマミアラカシの芽が出  てくるということになります。イタジイやアマミアラカシは、ル  リカケスに食べられてばかりいるわけではなく、ルリカケスにド  ングリを遠くまで運んでもらって、自分の子孫を増やしているの  です。    大きくなりだしたアマミアラカシのドングリ。  10月4日(月) アカマタ  10月に入って、朝夕は少しずつ過ごしやすくなってきました。  森の中も少し涼しくなって、調査で長い間歩くのも楽になりまし  た。でも、この時期はヘビ類に要注意です。  ヘビ類も、人間と一緒でやはり真夏の暑い時よりも、秋の涼しく  なる頃が過ごしやすいようで、活動も活発になるようです。この  間は森の中を約3km歩いて、5匹ものヒメハブを見ました。また、  今朝はアカマタ(写真)に出会いました。アカマタは、南西諸島に  見られるヘビで夜行性ですので、夜が明けてからはめったにお目  にかかれないヘビです。毒はないのですが、他のヘビを絞め殺し  て食べてしまうという、はなれわざを持っています。この間、知  り合いが、このアカマタがリュウキュウアオヘビをぐるぐる巻き  にして絞め殺し、丸呑みしたのを目撃しました。また、かっては  猛毒のハブでさえ、絞め殺して丸呑みにした記録もあります。無  毒でとてもきれいなヘビなのですが、すごいですよね。     
 林道を横切ろうとしていたアカマタ。きれいな模様をしています。




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